チベット旅行記

出張の多い生活が始まってから,移動の際に本を読むようになった。難しいものや仕事関係のものを読む気にならないときに読んでいる本がこれ。チベット好きの人にはよく知られた本と思われる。

チベット旅行記(1) (講談社学術文庫)

チベット旅行記(1) (講談社学術文庫)

今は4巻を読んでいるが,色々とすごい。ポリティカル・コレクトネスの概念などない頃に書かれたものなので,穏当なところでも「チベット人は体を洗わない,歯も磨かなくて不潔。」等々,とっても率直な内容のオンパレード。ちなみに,作者はお坊さんで,仏教の梵語原典を手に入れるため,明治の頃,ネパールから鎖国中のチベットに潜入した方。明治の日本の真っ当な仏教者からすると,チベットの政治や土着信仰と一体となった仏教のあり方は,色々胡散臭かった模様。

ちなみにこの本によると,チベット清朝の属国ではあったものの,20世紀頭らへんになると,清の皇帝の権威は地に落ちていて,チベットに対する政治的な影響力はゼロに近かったらしい。なるほど。