ロンドンの深度

ロンドンと書いていながら、日本のネタで恐縮なのだが、イラン人のシリン・ネザマフィさんが文学界新人賞を取った、というニュースがとても気になっている。ニュースへのリンクはこちら


日本語が第二言語or第三言語の人がこういう賞を取ったということもとても喜ばしいのだが、実は一番納得してしまったのは、彼女の「イランの風景を伝えたかった」という動機。
確かに日本ではイランの実情は本当に知られていないし、それ以上にイランにどんな空気があって、どんな建物があって、どんな景色があるかなんて、ほとんどの日本人は興味もないんだろうと思う。まあ当たり前だ。でも、実は、数年前に旅行したときにつくづく思ったのだが、イランというのはとても美しい国なのである。ペルシャの文化や技術というのは本当に凄くて、中央アジアにある数多くの美しいモスクやインドのタージ・マハルもみんなペルシャ人(つまりイラン人)が作った。もちろんイランにある歴史建築はそのオリジナルで、本当に美しい。建物だけじゃなくて、イランの古都イスファハーンの川縁なんか、緑ゆたかで、きれいに整えられていて、もはやヨーロッパのリゾート地みたいだったりする。そして一番圧巻なのは、アルメニアとの国境に位置する山並み。あっさりした水墨画と西洋の油絵の中間のような(としかボキャ貧の私には表現しようのない)圧倒的な景色が眼前に迫ってくる。あの山並みはあの場所以外にはどこにもないんじゃないかなぁと思う。そりゃぁ伝えたくもなるよなぁ。って気がついたら自分の話になっていたが、イランもう少し理解されてほしいなぁ。これはイギリスでも同じなんだけど。